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議会報告

令和8年3月2日(月)№ 1  代表質問 鈴木議員(自民)

 

1 今回の衆議院議員総選挙の結果をどう受け止め、高市政権に何を望むのか。

 

先月の総選挙は、昨年10月に発足した高市政権に引き続き国家経営を託し、責任ある積極財政など国の根幹に関わる重要政策を大転換することの是非を国民に問う選挙となった。来年度予算編成への影響を考慮して16日間の短期決戦となったが、本県の喫緊の課題に対応するため、我々も一丸となって駆け抜けた。

結果は自民党単独で316議席を獲得し、県内では4年ぶりに全小選挙区で議席を得るなど、強い民意で信任を得た。国際情勢が不透明な中で強いリーダーを求める声や、物価高などで暮らしが厳しい中で、安定政権による迅速な経済対策を進めることへの期待が大きかったものと考える。

高市首相は「日本列島を、強く豊かに」というスローガンの下、選挙戦を通じて、挑戦する人が評価され、頑張る人が報われ、安心して家庭を持ち、夢を持って働ける国の実現を掲げた。

一方、地方では人口減少や内需縮小の中、医療・介護現場の人手不足や地域産業の衰退など構造的問題に直面している。国には今後、地方創生の取組をフォローアップし、地域未来戦略を推進する上で、地方の実情を踏まえ、実効性のある地域活性化策を打ち出してほしいと強く願う。

また、減税策も検討されているが、地方財政の根幹をなす地方税や地方交付税などの一般財源の安定的確保、ナショナルスタンダードの観点からの子育て支援策の格差是正、公立高校の教育環境の充実に対する一層の支援など、本県のこれまでの国政への期待がスピード感を持って実現に向かって動いていくのか、高市政権の積極財政が各地域の未来の成長に向けてどう展開されていくのか、大いに注目し、行動していきたい。

 

 

2 将来人口の新たな推計結果を受け、人口減少対策に今後どう取り組むのか。

 

令和7年住民基本台帳人口移動報告によると、本県の転出超過数は日本人のみで前年より159人増加して4,603人となった。その多くは、15~29歳の若者で、進学や就職による大都市圏への流出と考える。

また、昨年の我が国の出生数は過去最少の67万人程度となる見込みとの報道もあり、少子化が国の想定を超える速度で進行し、地方の人口減少に深く関わる東京一極集中と出生数の減少に歯止めが掛からない状況である。

人口減少は、労働力不足や内需の縮小による地域経済の停滞を招くとともに、医療や福祉、社会保障、教育、インフラの維持など社会システムにも影響を及ぼす深刻な問題であり、地方において急速に進んでいる。国の発展を下支えしている地方の衰退は、国全体の衰退に直結することから、地方の急速な人口減少を食い止めることは喫緊の課題である。

高市政権は、昨年11月に人口戦略本部を新設し、人口減少を最大の課題に位置付け、こども・子育て政策を含む対策を総合的に推進する体制を整えた。先の総選挙で国民の信を得た今、党派を越えた議論の下、国の責任による具体的かつ実効性のある対策が展開されることを期待する。

知事は人口減少対策を県の最重要課題の一つに掲げ、社会情勢の変化に応じてブラッシュアップを図りながら、自然減・社会減対策の両面から施策を展開するとともに、昨年4月には県庁内の司令塔として人口減少対策統括部長を新設し、先を見据えた対策を講じてきた。

しかし、本年1月に県が公表した2060年の将来推計人口は、約65万6,000人と、現在の半分近くに減少する厳しい結果で衝撃を受けた。国を挙げた対策なくして、人口減少問題の解決は難しいと認識しているが、皆でこの難局を乗り越えようと、あえて厳しい状況を公表した知事の誠実かつ前向きな姿勢に共感し、地域の未来への責任を共に果たしたい。

 

 

3 官民共創拠点・E:N BASEの開設を契機に、今後どのような方針で共創の取組を進めていくのか。

 

新第二別館の供用開始を間近に控える中、官民共創拠点・E:N BASEも先月から内装工事等が始まり、開設準備が着実に進んでいる。

昨年11月に知事から同拠点の概要が発表され、ホームページでは施設や設備、利用方法をイメージできる動画も見ることができ、企業や金融機関、大学等の関係者から同拠点の活用や共創の取組への興味・関心が示されるなど、5月26日の開設に向けた機運の高まりを感じるとともに、期待を一層強くしている。

今後は、多くの人が参画し、開放性に優れた空間や先進的なICT環境等の機能を最大限に活用しながら、官民に限らず民間同士による取組も含め、共創の輪を生み出し、広げていく仕組みや仕掛けづくりが重要と考える。

県では、同拠点の運営に当たり、県外の共創施設で実地研修を受けた若手職員と共創施設の運営ノウハウや実績を持つ民間事業者が連携する効果的・効率的な運営体制の構築を進めている。特に県職員が同拠点に常駐し、運営に直接携わる全国的にも例のない挑戦的な姿勢で臨んでいることは心強い。

今回の当初予算案には、同拠点の管理・運営に加え、共創を推進するための経費が計上されており、同拠点が、その名称に込められた意味のとおり、共創の縁と円を生み出し、広げていく中核的な場となり、地域の活性化に寄与することを期待する。

 

 

4 全国植樹祭の意義浸透とレガシー継承に向けどう取り組むのか。また、開催にかける  意気込みはどうか。

 

5月17日に第76回全国植樹祭えひめ2026が開催される。全国有数の森林県である本県の森林・林業発展の契機となったのは、昭和41年に本県で初めて開催された第17回全国植樹祭である。昭和天皇・香淳皇后によるお手植えや多くの参加者による記念植樹が行われ、県民が森林保全や緑化の必要性を深く認識するきっかけとなり、緑化運動の推進や林業・木材産業発展の礎を築いた。今回も天皇皇后両陛下の御臨席の下開催されると聞き、県民の一人として心待ちにしている。

本県の森林資源は、先人が人手と時間を掛けて造成したもので、本格的な利用期を迎える中、持続可能な形で次世代に継承するためには、県民の森林・林業への理解を深め、森林整備や森林資源の循環利用を推進するとともに、県民一人ひとりが緑の価値と重要性を再認識することが必要であり、今大会は県民意識確立の契機となると期待する。

県では、児童生徒による苗木育成、県内イベントでの苗木配布、全市町での大会シンボルの巡回展示、県民や企業・団体の緑化活動等を通じ、開催機運の醸成と緑化意識の向上に取り組んできた。また、本県が利用促進に注力しているCLTを式典会場で活用するなど、本県らしさを全国に発信するほか、県民全体で大会開催の意義と喜びを共有できるよう、メイン会場のほか県内5か所にサテライト会場を設けており、県民総意の大会になることを心強く感じる。大会準備も大詰めを迎える中、本大会を一過性のイベントで終わらせず、県民が森林に対する愛情を培い、今後も健全な姿で守り育てる意識の共有を図ることが重要と思う。

 

 

5 物価高騰や最低賃金引上げ等の影響を受ける県内事業者の経営力強化に向け、どう支援していくのか。

 

現在我が国では、不透明な海外情勢や資材原料価格の上昇、円安の進行等を背景に物価が上昇し、消費者物価指数は2022年以降、毎年3%前後上昇している。

今後もこの傾向が続くと見込まれる中、人々の生活を守るためには、物価と賃金の好循環の実現が重要であるが、近年では最低賃金の上昇が進み、今年度、本県では約8%引き上げられ、1,000円を超えた。労働者にとっては収入の安定と生活の改善につながり喜ばしいものであり、今後は賃金上昇が最低賃金にとどまらず、幅広い層に定着していくことを期待する。

一方、物価高騰や賃金上昇は企業の経営を圧迫する要因でもあり、今年度の経済団体の調査によると、全国の中小企業で、賃上げを実施する企業は約7割と高水準を維持しているが、そのうちの60.1%の企業は、業績が好調でなくとも人手不足や流出防止のために、いわゆる防衛的賃上げを余儀なくされているとのことであり、経営環境が厳しい状況にあることがうかがえる。

企業が前向きに取り組むことで、将来の維持成長が見込める場合には、労働条件の改善や労働者のモチベーションの向上、職場定着等につながると思う。県内中小企業が収益性を確保するためには、資材等の高騰に伴う仕入れ上昇分の適正な価格転嫁や経営コスト削減、付加価値向上、新分野への展開等を推進し、企業の稼ぐ力を強化することが有効と考える。

一方、本県は経営基盤がぜい弱な小規模事業者が多く、自助努力を前提としながらも、行政等のきめ細かな支援が必要と考える。

 

 

6 本格販売2年目を迎える紅プリンセスの生産振興と販売促進にどう取り組んでいくのか。

 

本県は美しい自然と温暖な気候に恵まれ、複雑な地形による不利な条件を生産者の努力と創意で克服し、柑橘王国えひめとしての地位を確立してきた。

一方、柑橘農業を取り巻く環境は、生産者の高齢化や担い手不足、近年の急激な気候変動や資材等の物価高騰に加え、若者を中心とした果物離れによる消費減退などで年々厳しさを増している。

県は、基幹産業である農林水産業の持続的発展と次世代への継承のため、その中核を担う柑橘農業において、収益性が高く、高品質・安定生産が可能な品種開発や効率的な生産体制の構築、ブランド化による高付加価値化、販路開拓を通じた需要拡大などに精力的に取り組んでいる。

昨年3月には、紅まどんなと紅かんぺいを親に持つ期待の新品種、紅プリンセスの本格販売が始まった。販売初年度である昨シーズンは、生産量が少なく厳選出荷のため、出荷量や出荷先は限定的であったが、市場や消費者の評価は上々と聞いている。

生産者も初めての品種で、手探りの栽培方法に苦労したと思うが、今後は最適な栽培技術の確立と普及により、安定生産を目指すことが重要と考える。

また、県内各地で苗木が新植され、西日本豪雨災害の再編復旧園地でも若木が順調に生育していると聞いており、今後、紅プリンセスの生産量の拡大とともに、販売面でも認知度向上に向けて取組を強化することで、紅プリンセス、紅まどんな、紅かんぺいを合わせた紅コレクションの付加価値が高まり、県産柑橘をけん引するブランドとして育っていくことを期待する。

 

 

7 社会資本整備による県土の強靱化にどのように取り組んでいくのか。

 

未曽有の大災害となった東日本大震災から今月11日で15年を迎える。この間、復旧・復興に時間を要する大規模地震が各地で発生し、最近でもカムチャツカ半島付近や青森県東方沖、鳥取県東部を震源とする地震が相次いだ。本県でも一昨年の豊後水道の地震で県内初の震度6弱を観測したほか、南海トラフ地震臨時情報も二度発表されるなど、県民の不安は高まっている。先月には県による地震被害想定調査の最終報告が公表され、南海トラフ巨大地震が県内にもたらす被害想定が見直されており、能登半島地震で課題となった孤立集落対策や、1万人近い死者が想定される津波への対策など、これまで以上に、防災・減災対策に取り組むことが重要と考える。

気候変動の影響で、水災害も激甚化・頻発化しており、昨年8~9月には九州から東北にかけて豪雨による甚大な被害が発生した。このような大規模災害に備える事前防災は、西日本豪雨災害を経験し、南海トラフ地震で大きな影響が想定される本県の最優先課題である。

国は、昨年11月に閣議決定された総合経済対策で、危機管理投資・成長投資による強い経済の実現を柱の一つに位置付け、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく取組を予算措置した上で、自然災害等の危機から国民の生命と財産を守り抜くため、国土強靱化対策を推進している。

県も、国補正予算に即応した12月補正予算に基づき、道路や河川、港湾、海岸等の整備による防災・減災対策を推進しているが、引き続き、最新の被害想定も踏まえ、大規模災害から県民の生命と財産を守る強靱な県土づくりを着実に進めてほしい。

 

 

8 公立中学校部活動の地域展開の実現に向けて、今後どう取り組んでいくのか。

 

昨年末の第76回全国高校駅伝競走大会で、県立宇和高校の男子チームが四国地区代表として11年ぶり5回目の出場を果たした。3年前に長距離部員がゼロであった同校は、マラソン前日本記録保持者を指導した監督の下で急成長し、全国の舞台で県予選を上回るタイムで力走した。

この活躍は、生徒の努力や指導者の熱意に加え、社会人や中学生との合同練習などにより地域ぐるみで部活動を支える環境と、公立中学校の部活動を地域に移行するという地域展開の取組が相乗効果を生み、急成長につながったのではないかと思う。

国は地域展開を加速させるため、昨年12月に、令和8~13年度までを改革実行期間とする新たなガイドラインを公表し、休日は原則全ての公立中学校の部活動で地域展開の実現を目指している。

持続可能なスポーツ・文化芸術活動の環境整備は、体力や技能の向上のみならず、多感な時期の子どもが人との出会いを通じ、人間性を育んでいく上で重要な意義があると考えるが、地域展開については、指導者不足、持続可能な地域クラブ体制の確立、保護者の経済的負担など多くの課題がある。

指導者や地域クラブの偏在が顕著な地方で子どものスポーツ・文化芸術活動の機会を確保するためには、まちづくりも見据え、県や市町、関係団体などが地域総ぐるみで協力して支える仕組みが必要と考える。

地域展開を部活動の維持にとどめず、子どもに多種多様な体験機会を創出し、豊かな成長と地域社会の維持・活性化につなげることが重要である。

 

 

9 厳しい経営状況にある県立病院の経営改善に今後どう取り組んでいくのか。

 

県立病院は地域医療を支える不可欠な存在であり、重いけがや病気の患者の命を救うため、昼夜を問わず稼働している。今後も高度で安心・安全な医療の提供を期待するが、昨今の急激な物価高騰や賃金上昇等の影響で、全国の公立病院の経営状況は著しく悪化している。昨年公表された国の地方公営企業決算状況調査によると、昨年度の公立病院の経常収支総額は過去最大の3,952億円の赤字で、赤字病院の割合も83.3%と過去最大となっており、本県の県立病院も引き続き厳しい決算となることが見込まれる。

診療の対価は診療報酬で定まっており、物価高騰等の影響を他に転嫁できないことに加え、特に地域の中核病院である県立病院は、救急・周産期医療において常時患者対応する必要があることから、コストが掛かる。全職員が危機意識を持ち、経営努力を続けることが必要であるが、抜本的な経営改善には、診療報酬改定や国の財政支援などが不可欠である。

国は、今年度補正予算で物価高騰や賃上げ対策を支援するための予算を計上したほか、来年度予算案において、次回の診療報酬の改定率を人件費などの本体部分で3.09%引き上げるなど、30年ぶりに高水準のプラス改定とした。また、地域医療体制の確保に向けて、地方財政措置を拡充する方針を示しており、柔軟な診療報酬制度への見直しや、救急・周産期医療等の政策的医療の維持・確保に向けた財政支援の拡充といったこれまでの知事の要望もあり、その成果が表れたものと考えている。

県の来年度当初予算案では、病院事業会計に対する一般会計からの負担金や貸付金を増額するほか、今年度2月補正予算案では、負担金増額と給与改定に係る補助金を計上しており、地域医療を守ろうとする姿勢を心強く思う。

一方で、診療報酬改定が行われても、大幅な収益の増加は見込めず、来年度当初予算案も今年度に引き続き、赤字予算となる厳しい状況にある。看護師等の人材不足や物価の上昇等による費用増加も懸念されるが、県民医療の最後のとりでとして、救急・周産期医療などの政策的医療の提供を始めとした県立病院の機能を守ってほしいと切に願う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令和7年2月28日(金)№1 代表質問 鈴木議員(自民)

1 地方創生の実現に向け、人口減少対策を今後どのように展開していくのか。

 

 石破総理は今国会の施政方針演説で、自らの政策の核心に地方創生2.0を据え、「令和の日本列島改造」として、強力に進めていく決意を述べた。 

「地方こそ成長の主役」という総理の考えに基づく地方創生2.0は、昨年末に基本的な考え方が示され、今夏には、基本構想が取りまとめられるとのことであるが、基本構想の策定に当たり設置された新しい地方経済・生活環境創生会議の有識者委員に、都道府県知事を代表する立場として中村知事が選任され、自治体トップとしての豊富な経験に裏打ちされた俯瞰的、建設的、具体的な提言を打ち出しているほか、今月22日には、本県で第4回会議が開催され、関係者とともに県内の地域資源を活用した地方創生の取組みを発信するなど、存在感を示している。 

地方創生2.0の基本的な考え方では、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策を講じていくため、東京圏への過度な一極集中の是正、若者や女性にも選ばれる地方をつくることなどがうたわれているが、本県では、既に、デジタル技術を駆使した移住促進や仕事と家庭の両立支援、女性の活躍推進など、国に先駆けて各般にわたる対策を講じている。 

しかし、先月末に国が公表した令和6年住民基本台帳人口移動報告では、本県の転出超過数は4,444人と前年よりも拡大し、そのほとんどを15~29歳の若者が占めているほか、昨年の出生数についても前年を下回る水準で推移するなど、少子化や社会減の流れを変えるまでには至っておらず、この問題の難しさを改めて痛感している。 

人口減少対策は一朝一夕で成果が表れるものではないが、コロナ禍で縮小しつつあった転出超過数が、若年層を中心に再び拡大傾向にある中、地方創生を実現していくために、引き続き、粘り強く取り組む必要がある。 

 

 

2 「こどもまんなか社会」の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのか。

 

 国が公表した人口動態統計の速報値を基にした試算では、令和6年における全国の日本人の出生数は、初めて70万人を下回ることが見込まれている。国立社会保障・人口問題研究所が一昨年に公表した将来推計では、6年の出生数は75万5,000人で、70万人を下回るのは20年と見込まれていたことから、想定を上回るペースで少子化が進んでいる。このような少子化や核家族化の進行により、地域のつながりの希薄化が加速し、子どもや子育てを取り巻く環境が大きく変わってしまうのではないかと危惧している。 

全ての子どもの権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を掲げた、こども基本法が施行されてまもなく2年を迎える。家族の在り方や家族を取り巻く環境が変化し、多様な選択肢がある中、自らの主体的な選択により、子どもを生み育てたいと希望する若者に対しては、当事者目線での結婚や子育て支援などを進めていくことが必要である。さらには、性別や年齢にかかわらず、誰もが多様な生き方を選択できるよう、個人や職場における固定的性別役割分担意識の解消を始め、社会や個人の価値観の変容に合わせた環境づくりも不可欠である。 

このような中、県は、「こどもまんなか社会」の実現に向け、今後5年間の子ども施策の方針である県こども計画の策定を進めている。子どもや子育てを取り巻く環境は絶えず変化していることから、計画策定後も、引き続き、子どもや子育て当事者に寄り添った実効性のある取組みを期待する。

 

 

3 官民共創拠点の開設に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。

 

 来年4月の供用開始を目指し、現在、新第二別館の建設が進められている。今回の整備の特徴の一つが、1、2階に整備する官民共創拠点であり、昨年9月定例会において、知事から「県内市町を始め企業やNPO、大学など幅広い関係者が多様な知見やノウハウ等を持ち寄り、対話を重ねながら一緒になって地域課題の解決や、革新的で実効性のある新規プロジェクトの創出に取り組む施設にしたい」との答弁があった。時宜を得たものであり、県民の一人として、完成を心待ちにしている。 

また、今国会の石破総理の施政方針演説では、地方創生に約3割の分量が割かれ、官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限引き出し、ハードだけではないソフトの魅力で人の流れを生み出すとともに、新技術を徹底的に活用し、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していくと述べるなど、国の地方創生への取組みは、官民共創拠点の整備を進める本県にとっても強力な追い風になるものと感じる。 

県では、これまでも人口減少に伴う国内市場の縮小を見据え、農林水産物を始めとした本県の優れた食品や、スゴ技などの県内企業の高い技術力に裏付けられた製品の販路拡大を図る「愛のくに えひめ営業本部」の取組みや、デジタル技術を様々な産業の現場等に実装し、県内事業者の稼ぐ力の強化や生産性の向上等を目指すトライアングルエヒメを始め、県内4大学と連携したデジタル人材の確保やスタートアップの創出など、新たな施策に矢継ぎ早に取り組み、成果を上げている。 

しかし、全国の自治体が地方創生に注力する中で、官民共創拠点を成功に導くには、県内外の様々な事業者が集い交流しやすい魅力ある施設整備や、数多くの共創が生まれる運営面での工夫も重要と考える。 

 

 

4 Velo-city2027の誘致の意義をどのように捉え、開催に向けどう取り組んでいくのか。

 

 県は、自転車新文化の推進を主要施策の一つに掲げ、サイクリングを切り口とした交流人口の拡大や地域活性化に段階的かつ戦略的に取り組んできた。 中でも、しまなみ海道は、地域を代表する国際イベントとして定着したサイクリングしまなみの開催や国内外への強力なプロモーションにより、CNNの世界7大サイクリングルートや国のナショナルサイクルルートに選定されるなど、サイクリスト憧れのエリアへと成長し、近年は外国人が自転車でしまなみ海道を走行する姿が多く見られるなど、正にサイクリストの聖地の名にふさわしい地位を確立している。

さらに、しまなみ海道だけでなく、ブルーラインの整備等により県内全域にサイクリングコースを設定するとともに、シェア・ザ・ロードやヘルメット着用の啓発など自転車の安全利用を図ることで、誰もがサイクリングを楽しめる地域づくりを推進するなど、着実に成果を上げている。 

このような中、県では、これまでの自転車施策を国内外に発信し、国際的な認知度をより一層高めるため、世界最大級の自転車国際会議「Velo-city」の誘致に取り組み、先日、令和9年の開催地に決定したと発表があった。知事のリーダーシップの下、関係者が一丸となってこれまで育んできた自転車新文化の取組みが世界に認められたものであり、誇らしく思う。 

同会議は1,000人を超える自転車関係者が集まり、自転車の安全利用を始め、都市計画や観光面での活用など様々な議題について議論するとともに、県民参加型イベントも予定されているとのことである。Velo-cityの開催により、欧州を中心としたサイクリングが盛んな地域などでの本県の知名度が向上し、今後更に多くのサイクリストが本県を訪れ、地域活性化につながることを期待する。 

 

 

5 インド経済交流ミッションの成果はどうか。また、ものづくり企業の海外展開支援に今後どのように取り組んでいくのか。

 

知事は、今月2~7日に県内経済団体等と連携し、2年連続、2回目となるインド経済交流ミッションを実施し、総勢80人の大規模な訪問団とともに、インド南部のタミルナドゥ州を訪問し、県内企業と現地企業との商談会の開催や、現地大学等と連携したインド人材の誘致促進などに取り組んだ。 

昨年11月末にジェトロが公表した海外進出日系企業実態調査でも、今後1~2年の事業展開の方向性について、インド進出企業の8割以上が「拡大」と回答するなど、成長を続ける巨大市場への期待は、更に高まると思う。 

一方、現時点では、インドでビジネスを行う日系企業は、大企業が中心となっている。今後の国内市場の縮小や労働力人口の減少等を見据え、将来的に、インドとの経済交流を本県経済の活性化に結び付けるためには、幅広い県内企業の現地でのビジネス機会の創出や人材確保に向けた取組みを後押しし、交流の裾野を広げていくことが重要である。 

県では、前回の経済交流ミッションで構築した現地政府とのLocal to Localの交流基盤や、信頼できるビジネスパートナーとの人脈を礎に、現地に精通するアドバイザーやサポートデスクの設置など、ビジネス環境等が厳しいとされるインドならではの支援体制も構築しながら、県内企業のリスク低減や不安の解消を図りつつ、機動的できめ細かなサポートを通じて、インドとの経済交流を進めてきた。さらに、先日のミッションでは、県産水産物の輸出など、新たな試みにも果敢に挑戦しながら、県内企業のビジネス機会の創出と人材確保に向けた取組みを強力に推し進めた。 

県として初の2年連続でのミッション実施など中長期的展望を持ちながら、一気呵成にインドとの交流を進める知事のリーダーシップと卓越した戦略眼に敬意を表するとともに、将来、取組みが実を結ぶことを期待する。

 

 

6 紅プリンセスの生産・販売に今後どのように取り組んでいくのか。

 

県オリジナル品種の紅まどんなを始めとする高級中晩柑は、品質の高さから市場や消費者からの信頼が厚く、販売シーズンの引き合いは旺盛と聞いており、温州みかんの収穫が終わる頃から、時期をずらしながら旬を迎える紅まどんな、甘平、せとかなどのリレー出荷は、他の産地では決して真似のできない本県の強みである。 

このような中、期待の新品種である紅プリンセスの本格販売が開始される。紅プリンセスは、紅まどんなと甘平を掛け合わせ、紅まどんなのゼリーのような食感と甘平の濃厚な甘さを併せ持つ、正に柑橘界のサラブレッドである。 

また、西日本豪雨において、県みかん研究所の試験園地の紅プリンセスの苗木が奇跡的に被災を免れ、このことが、被災農家の経営再開に向けての心のよりどころになったとも聞く。県には、そのような生産者の想いも踏まえて、このおいしい果実を消費者に届けてほしい。 

一方で、紅プリンセスは、新品種であるため、まだまだ栽培方法が手探りな面もあり、生産者は試行錯誤を繰り返しながら高品質な果実の生産に向き合っていると聞く。また、近年の気候変動に伴う高温による生育への影響や、越冬栽培するため、今月上旬のような積雪があった場合には品質低下等の被害リスクが生じるなど、生産拡大していく上での課題は多く、生産者やJA等とも連携し、試験研究機関や普及機関も一丸となって、一つひとつ課題を解決しながら、早期に高品質で安定生産が可能な技術を確立してほしい。 

 

 

7 本県の公共土木施設において、国の5か年加速化対策等の活用による成果はどうか。また、今後の防災・減災対策にどう取り組んでいくのか。

 

 本県に甚大な被害をもたらした西日本豪雨から今年で7年が経過する。西日本豪雨が発生した平成30年度に、国は、防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策を創設し、この対策に続き、令和3年度からは5か年加速化対策として国土強靭化の取組みが加速化・深化しており、本県でも、公共土木施設における各分野での防災・減災対策が進んでいる。 

また、加速化対策終了後の国土強靭化の継続については、5年の国土強靭化基本法改正で、国土強靭化実施中期計画の策定が法定化されたことから、県議会でも、昨年7月に防災・減災、国土強靭化対策の更なる推進を求める意見書を提出し、実施中期計画の速やかな策定等について要望した。 

近年、全国各地で相次ぐ集中豪雨による被害に加え、先月には、南海トラ

フ地震の30年以内の発生確率が80%に引き上げられる等、大規模災害への備えは喫緊の課題であり、今後の国土強靭化の動向に注目が集まっている。

このような中、今国会での石破総理の施政方針演説では、8年度からの実施中期計画について、事業規模で加速化対策のおおむね15兆円程度を上回る水準が適切との考えに立ち、本年6月を目途に策定する方針が示された。 

 

 

 

8 県教育委員会では、国際的に活躍できるグローバル人材の育成にどう取り組んでいくのか。

 

 グローバル化が進展し、経済や社会、文化等のあらゆる分野で国境を越えた協力や調整等が必要となる中、これから社会で活躍する子どもが、言葉の壁を感じることなく、伸び伸びと自らの力を発揮するためには、実践的な英語力と併せ国際的な視野を身に付けることが重要である。 

そのためには、義務教育段階から、実際の場面を想定したスピーキングやリスニングなどの練習機会を増やし、英語の実用的なコミュニケーション能力を強化することはもとより、海外の多様な文化に触れる機会を設けることで、広い視野とともに、異文化に対する理解や、異なる文化を持つ人と共に協調して生きていく態度などを育成する取組みが必要である。 

県立学校振興計画では、今治西高校、松山西中等教育学校、宇和島南高校に国際関係の学科等を設置することとなっており、現在、各校の準備委員会において、学校のコンセプトや教育課程の編成等について具体的な検討が進められている。これらの学校では、語学力や国際感覚、実践的なコミュニケ ーション能力等を持つ人材の育成を目標としていると聞いており、先進的な国際教育によって、世界に通用する資質や能力を備えた人材が輩出され、我が国の国際競争力やイノベーションの向上に貢献することを期待する。 

同時に、これら3校の取組みを県立学校全体に波及させるとともに、学校内にとどまらない、体験的かつ高度な学びを通して語学力や国際性を高めた若者が、県内企業で就職し、地域の持続的な発展に貢献できるグローバル人材となることが、今後、更に重要になってくると考える。 

 

 

9 今治病院の移転新築の方針を含め、今後の県立病院の運営について、どう取り組んでいくのか。

 

 昨年度の県立病院事業の決算は、新型コロナウイルスをきっかけとして減少した患者数がいまだ回復しない中、物価高騰や賃金上昇に加え、新型コロナの5類移行に伴い国の財政支援が大幅に減少したことにより、4病院全てが赤字に陥り、近年では最大規模となる33億円の赤字決算となった。

先般、昨年の医療機関の倒産件数が過去最多を更新したとの報道があったが、全国で多くの医療機関が、物価高騰の影響に伴う医薬品等の費用の増や賃上げに伴う人件費の増などにより、苦境に立たされており、本県の県立病院の経営を取り巻く環境も、依然として厳しい状況にある。 

県立病院では、医師・看護師を始め人材が不足している厳しい状況にありながらも、とりわけ救急や周産期の現場では、その役割を全うすべく日々奮闘している。県は、こうした現場の頑張りに報いるため、12月補正予算において、約30年ぶりの高水準となる人事委員会勧告に基づく給与の増額改定を実施するとともに、今回の2月補正予算案には、厳しい経営環境に置かれている現状を踏まえ、給与改定差額緊急支援金として、給与改定相当分に対し、一般会計から支援を行う経費を盛り込んでいる。 

一方で、来年度の病院事業会計当初予算案を見ると、人件費の上昇に加え、薬剤費や診療材料費等の高騰の影響を受け、支出額が収入を34.3億円上回る赤字予算となっている。看護師等の人材不足もあいまって、劇的な収支改善が見込めないことは十分理解できるものであり、赤字予算とは言え、県民の命と健康を守るために必要な経費はしっかりと確保し、医療提供体制が後退することのないよう、地域の中核病院として使命を果たしてほしい。 

また、赤字予算を編成せざるを得ない厳しい状況の中、県民待望の今治病院の移転新築に係る予算も見送らざるを得なかったとのことであり、全国的に見ても、建設資材や労務費の高騰などの影響で、新たな公立病院の整備事業の見直しや入札不調が相次いでおり、本県でも、四国中央市で準備が進められていた新たな中核病院の整備事業が、医師不足や経営の悪化で一時中断していることなどを踏まえると、苦渋の決断であったことは想像に難くない。

 

 

 

 

 

 

 

 



令和5年9月15日(金)No.1 代表質問 鈴木議員(自民)

1・デイリー化するソウル線や新規就航する釜山線の安定運航に向け、今後どのように取り組んでいくのか。
昨年10月、政府は水際対策を大幅に緩和し、2025年までに訪日外国人旅行者数をコロナ禍前の2019年並みに回復させるとの目標を掲げた。
それ以降、インバウンドは急速に回復しており、国の発表によると、訪日外国人旅行者数は本年の上半期で既に1,000万人を超えており、中国市場の動向次第で年間2,000万人を上回る可能性もあると言われている。
県内でも、松山城や道後地区などを中心に外国人観光客を見ない日はなく、コロナ禍前のにぎわいを取り戻しつつある。県内の観光事業者からも、本年3月末のソウル線の運航再開後、韓国からの旅行者が大幅に増加し、需要回復に貢献しているとの声も聞く。加えて、ソウル線の利用者はリピーターも多く、愛媛ファンが着実に増加していることから、今後も韓国から多くの人が来県することを期待している。
このような中、先月末、ソウル線が本年10月末から増便されてデイリー化するとの発表があったことに加え、一昨日には、本年11月から、釜山線が新たに開設され、週3便で運航されるとのうれしい発表もあった。
コロナ後、全国的に課題となっているグランドハンドリング人材の不足など、受入側の問題も乗り越え、松山空港の国際線で初めてデイリー化が実現したことや、釜山との新たな定期路線が開設されることは、知事を始め関係者が一丸となって困難を乗り越えてきたたまものであり、敬意を表したい。
引き続き、県においては、訪日外国人旅行者が大幅に増加している好機を逃すことなく、インバウンド需要の更なる取り込みを図るとともに、アウトバウンド利用者の拡大に向け、航空会社や旅行会社など関係機関との連携を一層強化し、ソウル線や釜山線の安定運航にしっかりと取り組んでほしい。


2・県内大学と連携したデジタル人材の育成にどのように取り組んでいくのか。
近年、急速に普及する生成AIを始めとするデータ活用やデジタル技術の進化により、世界規模で産業構造の変化が起こりつつある。最新技術はあらゆる産業のDXを加速させ、社会課題の解決に貢献することが期待されているが、それらを活用するのは人であり、DX推進の担い手となる人材の重要性が増すとともに、求められるスキルは多様化している。新技術の活用や普及、産業構造の変化に対応し、地域経済の活性化につなげるためには、産業、教育、行政等のあらゆる分野におけるデジタル人材の育成が急務である。
国によると、デジタル人材は2030年に最大で約79万人不足すると試算されている。このような中、文部科学省では、大学等におけるデジタル・グリーン等、成長分野への転換や学部設置・拡充等の促進を目的とした助成事業を公募し、本県では、愛媛大学と松山大学が採択されるなど、全国的にデジタル人材育成の動きが強まっている。
県では、デジタル人材育成の重要性にいち早く着目し、昨年2月に策定した「あたらしい愛媛の未来を切り拓くDX実行プラン」で、2030年度までにデジタル人材を1万人輩出という目標を掲げ、各種施策に戦略的に取り組んでいるほか、昨年12月には、県内の四つの大学と「愛媛県デジタル人材の育成・確保に向けた連携・協力に関する覚書」を締結し、国に先駆けて情報学部・学科等の新設に向けた取組みを進めており、頼もしく感じている。
昨年4月から、高等学校において新学習指導要領が実施され、情報Iが必修科目となった。情報Iを学んだ高校生が卒業を迎える令和6年度が一つの分水嶺となることを踏まえると、県と県内大学との連携による取組みは時宜を得たものであり、今後は、更にその先を見据え、輩出されたデジタル人材が県内に定着し、活躍できる環境を提供していくことも必要である。


3・長引く物価高騰で経済的に厳しい状況に置かれている生活困窮者の支援にどう取り組んでいくのか。
ロシアによるウクライナ侵略や、欧米各国との金利差に起因した急速な円安等により、我が国ではエネルギー価格や物価の高騰が長期間に及んでおり、我々の生活にも影響を与えている。日本銀行が本年6月に実施した調査によると、95%以上の人が物価上昇を実感していると回答している。
中でも、食料品は最も身近に物価上昇を感じるものであり、消費者物価指数によると、本年7月には、2020年を100とした場合に、食品全般が113.1となるなど、食品の物価が依然として高い状況にある。
このような物価高騰の長期化に対し、政府は、昨年4月に「コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を、同年10月には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を取りまとめ、その都度、補正予算を成立させるなど、国民の暮らし、雇用、産業を守るための施策を実行してきたが、食品など生活必需品の物価上昇に歯止めが掛からない状況の中で、特に低所得の人は大変な苦境に陥っていると推察する。
こうした人の生活を支えるため、市町では、国の制度に基づき、住民税非課税世帯に対して、昨年度は5万円、今年度も3万円の給付金を支給している。また、コロナ禍で収入が減少した世帯を対象に実施した生活福祉資金の特例貸付について、住民税非課税世帯は償還が免除されている。
しかし、住民税非課税となっていない低所得世帯は、市町の給付金や特例貸付の償還免除の対象外となっており、物価高騰の中にあって、ぎりぎりの状態で頑張っているのが実態ではないかと思う。
コロナ禍や物価高騰の影響で厳しい生活を強いられている人を支えるとともに、安定した就労や収入を得ることで生活再建につなげていくためには、一人ひとりの状況に応じた丁寧な支援が必要である。


4・長期化する物価高騰で苦境にある県内中小企業への更なる支援に、今後どのように取り組んでいくのか。
エネルギー・原材料価格や円安による輸入物価の上昇は、資源の多くを国外に頼る我が国にとって更なるコストの増加を招いている。
各企業では事業を継続していくため、業務体制の見直しや省エネの推進等のコスト削減に取り組んでいるが、それにも限界があるため、大企業を中心に販売価格や内容量等の見直しなど、消費者へのコスト転嫁が行われている。
しかし、本県企業の大半を占める中小企業では、取引先や消費者からの理解が得られない等の理由から、コスト転嫁が不十分な企業も多いと思う。
また、8月10日に開催された愛媛地方最低賃金審議会で、県内の最低賃金を現在の時給額853円から過去最大の引上げ幅となる5.16%、44円引き上げて897円に改正することが適当である旨の答申が出され、来月から改正後の最低賃金が適用されるほか、コロナ禍で行われた実質無利子・無担保の「ゼロ・ゼロ融資」の返済本格化など、今後、企業のコストは更に増加することが懸念される。
県では、特別高圧電気やLPガスへの支援を始め、省エネ設備の更新支援など、物価高騰の影響を受けている県民や事業者に寄り添った支援に取り組んでいるが、県内事業者を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、更なる支援が必要である。


5・物流の2024年問題に対して、どのように取り組んでいくのか。
平成30年に成立した働き方改革関連法が来年4月からトラックドライバーにも適用されることとなり、時間外労働時間が年間960時間までに制限されること等により、トラックによる輸送能力が不足し、これまでのように物が運べなくなる、いわゆる「物流の2024年問題」が懸念されている。
この問題に対して対策を行わなかった場合、営業用トラックの輸送能力が来年度には約14%不足、さらに、令和12年度には約34%不足する可能性があると試算されており、日時を指定した納入や出荷が難しくなるほか、配送時間が長くなるといった問題が生じ、荷主側の生産効率の低下や売上の減少、顧客の流出につながることが危惧されている。
本県は、柑橘や水産品などの生産量が全国トップクラスであり、首都圏など大規模な消費地への出荷のほとんどを長距離トラックによる輸送に頼っている。今後、出荷したい時期に出荷したい量を運べなくなれば、鮮度や出荷量において、産地間競争で不利になることも懸念され、生産者を始めとする荷主側にとって、輸送力の維持・確保は喫緊の課題である。
一方、トラック運送業界は、燃油価格の高騰などによる厳しい経営状況に加え、他の産業と比べて労働時間が長く、慢性的な人手不足に苦しんでおり、労働環境の改善や生産性の向上は重要な課題であるが、これは運送業界の自助努力のみで解決できる状況ではない。荷主側の企業や消費者の行動変容により、取引環境が改善されなければ、トラック事業者が十分なドライバーを確保し、輸送を更に効率化し、また、物流を維持していくことは困難である。
物流の2024年問題は、トラック事業者だけで対応できるものではなく、県主導の下、荷主企業を始めとする各業界の連携を促し、オール愛媛体制で取り組んでいくことが必要と考える。


6・公共土木施設の防災・減災対策に、今後どのように取り組んでいくのか。
南予を中心に甚大な被害が発生した西日本豪雨から5年が経過したが、県では、早期復旧に総力を挙げて取り組むとともに、肱川の堤防整備や砂防施設の整備のほか、地域からの要望の強い河床掘削の集中的な実施や緊急輸送道路の整備等の防災・減災対策を推進しており、心強く感じている。
その一方で、今年も全国各地で豪雨による被害が発生している。7月には、福岡県、大分県、秋田県などで梅雨前線豪雨による被害が発生しており、本県でも、6月30日から7月1日の2日間で松山市では平年の7月1か月分の雨量を上回る264mmの雨量が観測されるなど、全国各地で短時間強雨の発生頻度が高まっており、豪雨災害の激甚化・頻発化や自然災害がもたらす脅威を改めて実感している。
水害及び土砂災害のリスク増大に加え、切迫する南海トラフ地震に対する取組みが急務であり、いつ発生するか分からない大規模な自然災害から県民の安全・安心を確保することが、喫緊の課題となっている。
また、災害リスクが増大する状況下でも、地域経済の活性化や地域間交流の促進等、本県が更なる発展を遂げるには、その基盤となる強靭な県土の形成が必要不可欠である。
今後も、西日本豪雨を始めとした過去の被災経験の教訓を生かした、計画的な河川改修、津波・高潮対策、土砂災害対策、災害発生時に救援・救護の動脈となる広域道路網の整備、適時適切な避難行動の促進等、災害に強い県土を目指した不断の取組みを推進することが重要である。


7・核燃料税条例の更新に当たり、税率を引き上げる理由と、今後の税収見込みはどうか。
ロシアによるウクライナ侵略は、世界のエネルギー情勢を一変させた。我が国でも電力需給のひっ迫やエネルギー価格の高騰が生じており、エネルギーの安定供給体制を強化する必要性が高まっている。
国内外の情勢が急変する中、一昨年10月には第6次エネルギー基本計画が、本年2月にはGX実現に向けた基本方針が閣議決定され、その中で、発電時に温室効果ガスを排出せず、熱効率にも優れた原子力発電は、安全性の確保を大前提に、引き続き重要なベースロード電源と位置付けられている。
一方、福島第一原発事故から12年が経過したが、原子力への社会的な信頼は十分に獲得されていない。原子力発電の安全性確保に関する第一義的な責任は発電事業者にあり、常に緊張感を持って安全性を追求する必要があると思う。このような中、伊方発電所では、一昨年7月に重大事故等対応要員である当時の社員の無断外出事案が発覚したほか、本年5月には定期検査中にトラブルが発生し、定期検査の工程が遅れるなど安全を脅かす事案が相次いでおり、原発立地地域の安全・安心の観点が置き去りにされているのではないかと危惧している。原発立地地域の声に耳を傾け、伊方原発の立地に伴う安全対策や地元の不安解消を最優先とした対応を切に願う。
本県では、昭和54年に核燃料税を創設して以来、安定的な税収を確保し、防災対策等の財政需要への対応を図ってきたが、今後も県民の安全・安心を確保するためには、伊方原発の立地に伴う安全・防災対策を着実に進めていくことが重要である。そのためには、来年1月が適用期限となっている核燃料税条例の更新は必要であり、原子力防災対策等をより充実させるためには、事業者である四国電力に応分の負担を求めることはやむを得ない。


8・第76回全国植樹祭の開催に向けた準備状況はどうか。また、今後どのように取り組んでいくのか。
先月、令和8年に開催される第76回全国植樹祭の開催県が本県に決定されたとの報道があった。森林が県土面積の約7割を占め、全国有数の林業県である本県での開催は、林業・木材産業関係者を勇気づけるものであり、中山間地域の振興を一層進めていく原動力にもなると考える。
去る6月4日、4年ぶりに天皇・皇后両陛下が御臨席される中、岩手県陸前高田市で第73回全国植樹祭が開催された。両陛下によるお手植え・お手播きなどの式典行事のほか、郷土芸能の披露や東日本大震災からの復興などをテーマとしたアトラクションにより、森林や木材利用への意識醸成や、震災復興への感謝と今後の思いを世界に向けて発信する感動的な大会であった。
本県では、昨年8月の開催内定以降、準備委員会による開催準備に着手し、先月には知事自らが会長として参画した実行委員会も開催されるなど、大会に向けた様々な検討がなされていくと聞いており、知事のリーダーシップの下、開催準備が着実に進んでいることを心強く感じている。
県内のスギ・ヒノキなどの森林資源は充実し、今後は、これらの豊富な森林資源を無駄なく利用し、再び育てるといった循環利用を進める新しい時代を迎えている。このタイミングで全国植樹祭が本県で開催できることは、我々一人ひとりが森林整備や木材利用に対する理解を深め、社会共有の財産である森林を守り、育て、支えていくための絶好の機会になるもので、多くの県民の参加を得ながら、開催機運が盛り上がることを期待する。


9・活用アイデアの募集の結果や関係団体等との意見交換も踏まえ、県民文化会館南側の県有地の活用に向けて、今後どのように検討を進めていくのか。
令和元年に県内で初めて開催されたG20愛媛・松山労働雇用大臣会合では、10億円以上の経済効果をもたらすなど、大規模な国際会議の開催は本県の国際的な地位の向上に寄与することを強く感じた。
本県は、人口や経済規模を見ると、四国でも中心となる地域であると自負しているが、拠点性の向上につながるコンベンション機能という観点では、国の出先機関が集積し、新香川県立体育館など、人の流れを生み出す施設の整備が進む香川県が一歩先を行っているようにも感じる。
また、長崎市では、市民交流を促進する拠点としてJR長崎駅前に大型コンベンション施設がオープンされるなど、他県の県庁所在地では、コンベンション施設を核としたまちづくりが積極的に進められている。
このような中、県では、駐車場として使用している県民文化会館南側の県有地について、先の6月定例県議会において、知事が活用方策の検討を開始、加速することを表明した。早速、7~8月にかけて県内外から活用アイデアを募集し、個人、法人から170件を超える応募があったとのことであり、改めて注目度の高さを認識した。
現在、県内には、他県と比較して、国内外から人や情報を呼び込むことができるMICE機能を備えたコンベンション施設が不足していると感じている。今回の県有地の活用に当たっては、他県に負けないコンベンション施設の整備も検討をし、本県の瀬戸内エリアでの拠点性の向上につなげてほしい。
また、これを契機に新たな人の流れが生み出されることで、本県の国際的な地位の向上につながり、国際航空路線の拡充やインバウンド観光客の増加、県内企業の海外での営業促進等に波及することも期待する。